最終更新日 2025年6月11日
2024年11月7日に発売されたソニーの「PlayStation 5 Pro(PS5 Pro)」は、ゲーム業界に新たな風を吹き込みました。
その最大の特徴は、強化されたグラフィックボード(GPU)性能にあります。
本記事では、PS5 ProのGPU性能をPCのグラボと詳細に比較し、ゲーム体験の違いや技術的な進化を徹底解説します。
さらに、ソニー独自のAIアップスケーリング技術「PSSR」やレイトレーシングの強化についても深掘り。
PS5 Proの購入を検討している方、ゲーミングPCとの比較で迷っている方に、網羅的かつ分かりやすい情報を提供します。
目次
PS5 Proのグラボ性能:基本スペックを徹底解剖
PS5 Proに搭載されているGPUは、AMDのRDNA 3アーキテクチャをベースにしたカスタム設計です。
公式発表によると、PS5 ProのGPUは通常PS5と比較して、コンピュートユニット(CU)が36から60へと67%増加しています。
メモリ速度は28%向上し、GPU全体のレンダリング速度は最大45%アップしました。
これにより、4K解像度での高フレームレートや、リアルなグラフィック表現が実現されています。
演算性能は16.7テラフロップス(TFLOPS)で、PCのグラボではNVIDIA RTX 4060Ti、RTX 3070、またはAMD Radeon RX 6800に近い性能とされています。
ただし、PS5 Proはゲーム専用機としての最適化が施されているため、単純な数値比較では測れない強みがあります。
例えば、PS5 Proは16GBのGDDR6共有メモリを搭載し、メモリバス帯域幅は573.44GB/sに達します。
この高い帯域幅は、高解像度テクスチャの読み込みや複雑なシーンの描画で有利に働きます。
通常PS5とのGPU性能の違い
通常PS5のGPUは、RDNA 2アーキテクチャを採用し、10.3TFLOPSの演算性能を持ちます。
一方、PS5 ProはRDNA 3アーキテクチャを採用し、演算性能が大幅に向上しています。
特に、レイトレーシング性能は2~3倍に強化され、光の反射や影の表現が飛躍的にリアルになりました。
さらに、PS5 ProはAIアップスケーリング技術「PSSR」を搭載し、低負荷で高解像度の映像を実現します。
通常PS5では、プレイヤーは「グラフィック優先モード」(高画質・30fps)か「パフォーマンス優先モード」(60fps・低画質)のどちらかを選ぶ必要がありました。
PS5 Proでは新たに「エンハンスモード」が追加され、両者を両立する快適なプレイ環境を提供します。
このモードは、特にアクション性の高いゲームや広大なオープンワールドで効果を発揮します。
PS5 Proのグラボ性能をPCのGPUと徹底比較
PS5 ProのGPU性能をPCのグラボと比較することは、購入を検討する上で重要なポイントです。
以下では、NVIDIAとAMDの主要GPUとの比較を詳細に行い、それぞれの強みと弱みを明らかにします。
NVIDIA RTX 4060Tiとの比較
RTX 4060Tiは、PS5 ProのGPUと近い性能を持つPC用グラボとしてよく比較されます。
RTX 4060TiのVRAMは8GB、メモリバス帯域幅は288GB/sです。
対して、PS5 Proは16GBの共有メモリ(GDDR6)を持ち、帯域幅は573.44GB/sと大きく上回ります。
このため、PS5 Proは高解像度テクスチャや4K描画で優位性があります。
一方、RTX 4060TiはNVIDIAのDLSS 3技術に対応し、AIアップスケーリングの精度でリードしています。
PS5 ProのPSSRはDLSS 3に近い性能を持ちますが、専門家の評価ではDLSS 1.5~2.0程度の品質とされています。
ただし、PS5 Proはゲーム専用機としての最適化により、特定のタイトルではRTX 4060Tiを上回るパフォーマンスを発揮します。
例えば、『Marvel’s Spider-Man 2』では、PS5 Proのエンハンスモードが安定した60fpsを実現します。
NVIDIA RTX 3070/3070Tiとの比較
RTX 3070や3070Tiは、PS5 ProのGPUとほぼ同等の性能を持つとされています。
RTX 3070Tiの演算性能は約29TFLOPS、VRAMは12GB、メモリ帯域幅は504GB/sです。
PS5 Proは演算性能で劣るものの、ゲーム専用機としての最適化により、特定のタイトルでRTX 3070Tiに匹敵するパフォーマンスを発揮します。
特に、PSSRを活用した4Kアップスケーリングでは、ネイティブ4Kに近い画質を低負荷で実現可能です。
RTX 3070TiはDLSS 3やNVIDIA Reflexなどの技術で優位性がありますが、PS5 Proは価格面で圧倒的なコスパを誇ります。
12万円のPS5 Proに対し、RTX 3070Ti搭載PCは20万円以上になる場合が多いです。
AMD Radeon RX 6800との比較
AMDのRadeon RX 6800は、PS5 ProのGPUとアーキテクチャが近く、比較対象として最適です。
RX 6800のVRAMは16GBでPS5 Proと同等ですが、PS5 Proはカスタム設計による最適化が強みです。
例えば、『ファイナルファンタジーVII リバース』では、PS5 Proのエンハンスモードで60fpsかつ高画質を実現します。
RX 6800では、同様の設定で最適化が不足する場合があります。
また、PS5 ProのPSSRは、AMDのFSR(FidelityFX Super Resolution)よりもゲーム専用機向けに最適化されており、特定のタイトルで優れた画質を提供します。
ただし、RX 6800はPCでの汎用性が高く、ゲーム以外の用途(3Dモデリングや動画編集)にも対応可能です。
PS5 Proの独自技術「PSSR」の仕組みと魅力
PS5 Proのグラボ性能を語る上で欠かせないのが、AIアップスケーリング技術「PlayStation Spectral Super Resolution(PSSR)」です。
PSSRは、NVIDIAのDLSSやAMDのFSRに似た技術で、低解像度の映像をAIが4K相当に補完します。
これにより、GPUへの負荷を抑えつつ、高画質な映像を実現します。
例えば、1440pの映像を4Kにアップスケールする場合、PSSRはテクスチャのディテールやエッジを滑らかに補完し、ネイティブ4Kに近い品質を提供します。
『Marvel’s Spider-Man 2』や『The Last of Us Part II』では、PSSRを活用した「パフォーマンスProモード」で、60fpsかつ高画質を実現しています。
PSSRは、PS5 Proの専用ハードウェアとソフトウェアの統合により、ゲームごとに最適化されています。
今後のアップデートでPSSRのアルゴリズムが改良され、さらに高品質な映像が期待されます。
この技術は、PS5 Proの長期的な価値を高める重要な要素です。
PSSRとDLSS/FSRの違いを徹底比較
PSSRはDLSSやFSRと比較して、ゲーム専用機に特化した設計が特徴です。
DLSSはNVIDIAの専用AIコア(Tensorコア)を必要としますが、PSSRはPS5 ProのGPU内で効率的に動作します。
FSRは汎用性が高いものの、画質面でPSSRやDLSSに劣る場合があります。
PSSRは、ゲームエンジンとの統合が深く、特定のタイトルで最適化されたパフォーマンスを発揮します。
例えば、『Horizon Forbidden West』では、PSSRにより広大な自然環境のディテールが鮮明に描画されます。
一方、DLSS 3はフレーム生成技術により、極端な高フレームレートを実現しますが、PS5 Proではこの機能は未実装です。
今後、PSSRがフレーム生成に対応する可能性もあり、さらなる進化が期待されます。
PS5 Proのレイトレーシング性能の進化
PS5 ProのGPUは、レイトレーシング性能が通常PS5の2~3倍に強化されています。
レイトレーシングは、光の反射、影、屈折をリアルタイムで計算する技術で、ゲームのビジュアルを劇的に向上させます。
『グランツーリスモ7』では、車体の反射や環境光の表現が向上し、60fpsを維持しながらリアルな映像を提供します。
『ホグワーツ・レガシー』では、城内の光の反射や影のディテールが強化され、没入感が飛躍的に向上しています。
この進化により、PS5 ProはPCのミドルレンジGPU(RTX 3070やRX 6800)に匹敵するレイトレーシング性能を発揮します。
特に、レイトレーシングを多用するタイトルでは、PS5 Proの最適化が活きます。
例えば、『Cyberpunk 2077』では、レイトレーシングを有効にしても安定したフレームレートを維持可能です。
PS5 Proのグラボ性能がもたらすゲーム体験
PS5 ProのGPU性能向上は、実際のゲーム体験にどのような影響を与えるのでしょうか。
以下では、具体的なタイトルを例に挙げ、PS5 Proの強みを解説します。
『ファイナルファンタジーVII リバース』のエンハンスモード
『ファイナルファンタジーVII リバース』は、PS5 Proのエンハンスモードで、60fpsかつ高画質を実現。
通常PS5では、30fpsの高画質か60fpsの低画質を選ぶ必要がありましたが、PS5 Proではこのトレードオフが解消されます。
広大なフィールドやキャラクターモデルのディテールが鮮明に描画され、アクションシーンも滑らかです。
特に、クラウドの剣戟アクションや魔法エフェクトが、PSSRにより高精細に表現されます。
プレイヤーは、ストーリーへの没入感と快適な操作感を両立できます。
『Marvel’s Spider-Man 2』の滑らかなアクション
『Marvel’s Spider-Man 2』では、「パフォーマンスProモード」で4K解像度と60fpsを両立します。
ニューヨークの街並みやビル群の遠景が、PSSRにより鮮明に描画されます。
レイトレーシングによる反射表現も強化され、ビルのガラスや水面のリアルさが際立ちます。
高速なウェブスイングアクションが滑らかになり、プレイヤーの操作感が向上。
戦闘シーンのエフェクトや敵のAIも、GPU性能の向上によりスムーズに処理されます。
『モンスターハンターワイルズ』のオープンワールド
『モンスターハンターワイルズ』は、PS5 Proのエンハンスモードに対応し、60fpsかつ高画質でプレイ可能です。
広大なオープンワールドの描画やモンスターのディテールが向上します。
特に、モンスターの鱗や毛皮の質感が、レイトレーシングによりリアルに表現されます。
マルチプレイでも安定したパフォーマンスを発揮し、仲間との狩りが快適です。
ただし、最高設定のゲーミングPCと比較すると、極端な高負荷シーンでは若干劣る場合があります。
『エルデンリング』のDLC対応
『エルデンリング』のDLC「Shadow of the Erdtree」も、PS5 Proの恩恵を受けます。
エンハンスモードにより、広大なマップや複雑なエフェクトが60fpsで描画されます。
敵のAIや環境の破壊表現も、GPU性能の向上により滑らかです。
特に、ボス戦の激しいアクションシーンで、フレームレートの安定性が際立ちます。
PS5 Proは、フロム・ソフトウェアの重厚な世界観を最大限に引き出します。
PS5 ProとゲーミングPC、どちらを選ぶべき?
PS5 Proの価格は約12万円と高額ですが、ゲーミングPCと比較した場合のコスパはどうでしょうか。
以下では、両者のメリット・デメリットを詳細に比較します。
PS5 Proのメリット
PS5 Proは、ゲーム専用機としての最適化が最大の強みです。
12万円でRTX 4060Ti~RTX 3070相当の性能を持ち、PSSRやレイトレーシングの恩恵を受けられます。
PS5独占タイトル(『Horizon Forbidden West』や『God of War Ragnarök』)をプレイできる点も魅力です。
設置スペースが小さく、コントローラーでの操作が簡単な点も、コンソールならではの利点です。
また、PS5 Proは電力効率が高く、消費電力がゲーミングPCより抑えられています。
ゲームのアップデートやパッチ適用も自動化されており、初心者でも扱いやすいです。
ゲーミングPCのメリット
ゲーミングPCは、カスタマイズ性と汎用性が強みです。
RTX 4070以上のハイエンドGPUを搭載すれば、PS5 Proを上回る性能を発揮します。
SteamやEpic Games Storeの幅広いゲームライブラリや、MODの利用が可能です。
また、ゲーム以外の用途(動画編集、3Dモデリング、配信)にも対応します。
ただし、PS5 Proと同等の性能を持つPCを組むには、18~24万円程度の予算が必要です。
さらに、PCのメンテナンスやドライバ更新の手間も考慮する必要があります。
選び方のポイント
PS5 Proは、コンソールで手軽に高品質なゲームを楽しみたい方におすすめです。
特に、PS5独占タイトルやカジュアルなゲーム体験を重視する方に最適です。
一方、ゲーミングPCは、ゲーム以外の用途や最高画質を追求したい方に適しています。
予算が12万円前後の場合、PS5 Proの方がコスパが高いと言えます。
もし将来的にアップグレードを検討するなら、PCの方が拡張性に優れます。
PS5 Proのグラボ性能に関するよくある質問
PS5 Proのグラボ性能について、ユーザーがよく抱く疑問をQ&A形式でまとめました。
Q1: PS5 ProのGPUはPCのどのグラボに相当しますか?
A: PS5 ProのGPUは、NVIDIA RTX 4060Ti~RTX 3070、またはAMD Radeon RX 6800に近い性能です。
ゲーム専用機としての最適化により、特定のタイトルでは上位GPUに匹敵するパフォーマンスを発揮します。
Q2: PSSRはDLSSと比べてどうですか?
A: PSSRはDLSS 1.5~2.0程度の品質とされていますが、PS5 Proの専用設計により、特定のゲームでDLSSに近い画質を実現します。
今後のアップデートでさらに進化する可能性があります。
Q3: PS5 Proは4K/60fpsを常に実現できますか?
A: エンハンスモード対応タイトルでは、4K/60fpsをほぼ実現可能です。
ただし、ゲームの最適化状況により、タイトルによっては55fps程度になる場合もあります。
Q4: PS5 ProのGPUは将来的に陳腐化しますか?
A: PS5 ProのGPUはRDNA 3アーキテクチャを採用し、PSSRによる効率的な描画が可能です。
ゲーム専用機の最適化により、少なくとも5~7年は現役で活躍できる性能を持っています。
まとめ:PS5 Proのグラボ性能は次世代のゲーム体験を約束
PS5 Proのグラボ性能は、RDNA 3アーキテクチャとPSSR技術により、PCのミドルレンジGPU(RTX 4060Ti~3070)に匹敵します。
レイトレーシングの強化やエンハンスモードにより、4K/60fpsの快適なゲーム体験を提供します。
12万円という価格で、ゲーミングPCに匹敵するコスパを実現。
PS5 Proは、コンソールゲーマーにとって最高の選択肢の一つです。
購入を検討している方は、本記事を参考に、PS5 Proのグラボ性能の魅力をぜひ体感してください。
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